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人文・思想 その2「目に見えない人の心を引きずり出した天才」


本 フロイトは目には見えない「心」「精神」と格闘し、その中に「無意識」を発見し、心の病を他の分野の医学と同様に治療の対象とした大天才である事は間違いありません。しかし、彼の唱えた多くの説は当時の、近代とはいえ、伝統的な体質を色濃く遺していたヨーロッパではなかなか受け入れられず、批判の連続の中で、彼自身が神経症気味であったというのは何とも皮肉的で笑えない事実だと思います。よくフロイトはユングと同列に語られますが、私個人としてはユングの方に好意的なのですけど、この二人はその考えに於いては同根です。普通に行けば、ユングがフロイトの正当な継承者になったと思います。ユングに関しては兄弟サイトの「不思議を…普通に考える」サイトにチョコッと書きましたので、こちらでは大御所のジークムント・フロイトについて書きます。
  
ユングとフロイトを決別させたものは二つであると(私は勝手に)考えます。ひとつは「無意識についての考え方の領域」の違い、そうしてもうひとつはフロイトがアメリカ嫌いになったのと違って、ユングはそうでもなかった(多分)。ユングは厳格で細かいフロイト(それゆえにあれだけの功績を残せたのでしょうが)に比べて、鷹揚だったのかも、です。しかし、アメリカ嫌いのフロイトはアメリカに尊敬される学者であり、多くの弟子がアメリカで研究を続けたというのは皮肉なものです。おそらく、フロイト自身はヨーロッパの古典的な権威主義の中にいるよりも、より自由な空気を持っていたアメリカの方が本来的には、彼の先進的な考えを醸成しやすい環境にあったと思います。まあ、彼自身もヨーロッパ文化の中で育ちましたから、アメリカの「自由」は「学問に対していい加減」とも感じられたのでしょうか。
     
フロイトに関してその業績等を事細かに書くと、本が一冊出来上がってしまいますので、バックリと行きます。大学で心理学(フロイトが心理学者であるか精神分析学者であるかは置いといて)の講義を受けて、最初に面白いと思ったのは有名な「アンナ.O」の事例です。アンナという女性が身体の衰弱・知覚障害・四肢の運動麻痺・言語障害・視覚異常などの症状が次々に現れてくるようになり、いわゆるヒステリーの症状ですが、フロイトの先輩でもあり共同研究者であるヨゼフ・ブロイアーは、アンナに色々な治療法を試しましたが、最も効果があったのは、彼女自身が何でも遠慮せずに話す、という治療法だったそうです。アンナ自身が「談話療法」と呼び、講義では「(心の)煙突掃除」という表現でも教わりました。要するにコンフェッション(告白)のようなもので、フロイトはここから自由連想法を発想し、「人は全てを思い出すことができ」、ヒステリーの原因を言語化し、表(意識)に出すことができれば症状は消える(治癒する)という治療法に辿り着いたそうです。
   
ここで重要になってくるのが「無意識の存在」です。大まかに言えば、人は自分にとって「思い出したくない不都合な事」「意識したくない不道徳な事」を無意識の領域に抑え込んでしまうと言う事です。そして、その無意識と意識との出入り口には門番のようなものがいて、不都合な事は意識の領域に出さないようにします。これがいわゆるヒステリーという身体症状に現れてしまう、という事です。ですから、その門番を、対話なり、連想なり、催眠(今では殆ど使われない手法。フロイトも晩年は治療法としてあまり使っていない)によって押しのけて、原因となっている過去の記憶を意識の領域へと引っ張り出すというのが、フロイトの考えた治療法です。

ちなみにヒステリーというのは男性にも起こる身体症状で、これは今でも女性特有のものと思っている人がいますけど、当時のヨーロッパ社会ではその考えが鉄板で、その事を発表したフロイトは相当にバッシングを受けたようです。これはいわゆる「戦場神経症(ソルジャー・シンドローム)」と同じ症状であり、男性でも起きる事は事実です。女性の場合はその殆どが幼い時の性的な虐待に起因するらしく、その意味では男性と少々違うのかもしれませんが、メカニズムは同じです。しかし、当時の古典的な父系社会であるヨーロッパでは「女の病名」を男が付けられるなんてとんでもない事だったのでしょうね。フロイトの真の業績とは、このようにまだ古典的な権威が残っているヨーロッパの中で「性」というものが人の精神的病理を引き起こすという、まさに教会にたて突くガリレオのようなもので、彼の「権威への尊敬よりも事実に対する敬意が優先されなくてはならない」という言葉にあるように、強い信念で「心」という未知の扉を開いた事に尽きるでしょう。まあ、晩年は何でも「性的」なもので説明しようとするという、少々不名誉な評価も受けていますが。

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