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人文・思想 その7「弁当 Bento 超コンパクトな食卓」


本 「その6」で書いた「丼もの&おにぎり」の中で、「弁当」は大ネタなので別の機会に、と書きましたが、ここで手掛けてみたいと思います。とはいえ、弁当という日本の文化をどのような角度から「切り口」を見つけて良いのか、正直言って迷いました。丼もの&おにぎりは「無常・漂泊」という切り口から入りましたが、それは当然、弁当なる文化にも同様の要素が含まれます。特におにぎりの持っている「機動性とコンパクトな中に一つの食を完結させる」、という特質は弁当と同じ世界を成立させていると考えます。それに加えて弁当には、「箱庭」にも通じるような美意識無しには生まれ得る文化ではなかったと思います。もちろん、昔の人の無駄のない、機能的で「循環的(リサイクル」、それに加えて徒な華美を嫌う心もあったのではないかと考えます。
 
調理済みの食事を携帯するというのは世界中にあるものですが、日本の弁当は比類のない文化として成り立っています。ただの簡便性や必要だけでここまでの進化は見られなかったと思います。よく、「弁当箱のような…」といえば、四角いものの比喩となりますが、まさにこの四角い器の中に、これ以上ないほどコンパクトな「食卓」を完成させているのが弁当です。日本の米(うるち米)は冷めても味が落ちないという特徴を持った食品であり、日本人は冷たいご飯でも美味しく食べます。お向かいの中国はあれだけの食文化を誇りながら、そういった「冷たいもの」を食べるという習慣(?)は無いようです。となれば、温めたもの、調理したものを並べる訳ですから、弁当のようにコンパクトな形は作り得ないでしょう。コンビニの主力商品である弁当はレンジで温めることもできますが、そのままでも美味しく食べられます。今でこそ、「ホカ弁」などのように、ご飯だけは温かい状態で食べる事はできますが、問題は「おかず」で、多種多様なおかず(漬物、生野菜、フライ、煮物、焼き物、卵焼き等々)を電子レンジで温めると、それらの風味がゴチャマゼになって逆に不味くなってしまう事があります。
   
少々冷たくても美味しく食べる習慣を日本人が持っているから、弁当は存在するのでしょう。実際、湯気でほっかほっかの弁当というのは想像しにくい。高級仕出しの弁当でも、温かくするのは汁物位ではないでしょうか。子供の頃、お弁当といえばおかずの定番は「卵焼き」「ウインナー(タコ型)」「コロッケ(揚げ物)」「シャケ(焼き魚)」「煮物」、時にはゴージャスな「焼肉」、で、ご飯には「海苔」「フリカケ」「オカカ」、そして保存も兼ねる「梅干し」。もう、これが四角い弁当箱に詰まっていれば、他に何の食器もいらず、その中に「食卓」が出来上がっています。ちょっと高級な「幕の内」であれば、ご飯とおかずの間に仕切りが入り、おかずの数も増えますが、基本的に内容はそれほど変わりません。素材が高級になる程度でしょうか。隣りの人と肩が触れ合いそうなカウンターで出されても、そこには一つの箱の中に豪華な食卓が成立します。
   
テーブルの上にやたらと皿が並んでいる食卓をうっとおしく思うのは私だけでしょうか? 日本人は大名や貴族(華族)などを除けば、極めてコンパクトな食卓を作り上げているのではないかと思います。(その極めつけは「鍋」ですが、これも大ネタですので、いずれ改めて)。家での食事と同じ食卓を弁当箱一つでどこにでも持って行ける。このような食文化を私は他に知りません。最近では「弁当男子」なる言葉もあり、その割合は、毎日ではなくとも、「たまに」まで含めると6割程度の方にその経験があるというデータもありました。

昔は、弁当というと(失礼な表現ですが)ブルーカラーの方の昼食、といったイメージがありましたけど、いまやホワイトカラーにもそれが広がっているようです。私の世代ですと、職場に弁当を持って行くというのは「営業として評価が低くなる」ような風潮がありましたが、考えてみれば、サッと美味しく、自分の好きなものを迷うことなく食べられますし、何といっても経済的。普通に考えてみれば極めて合理的です。まあ、正直言いますと、私も最初は周りの若い男性が弁当を持ってくるのを目にして、世代的な違和感を感じていましたが、もう一種のトレンドですね。違和感は殆ど薄れました。
    
全くの余談ですが、かつて私は新婚1年も経たないうちに会社を辞め、ほぼ今に続くプータロー、じゃなくてフリーランスのような生活に入って行きましたが、その時、家人は勤めていましたので、当然「暗黙の了承」で、稼ぎの少ない方が家事をやる、となり、毎日「元祖主夫」をやっていました。炊事洗濯はもとより、家人は事務職でしたので2か月くらいその弁当を作っていました。当面稼ぎがない訳ですから、自分のも一緒に作れば倹約にもなります。最初は面倒だったのですが、そのうちに慣れてくると、夕食と次の日の弁当のおかずを如何に効率よく考えるかという事が(何故か)楽しくなってきて、その弁当を家人が会社で自慢するらしく、当然「恥ずかしかった」のですが、次第に、その期待に応えようと頑張ってしまいました。試しに如何です、お弁当。けっこう、面白かったですよ。おかずの色味や配置に凝ったりして。外で1,000円もするランチを食べるのがバカバカしくなりますよ、きっと。

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