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科学・テクノロジー その1「フグには何故毒があるのか?」


本 えー、フグの話です。私が育ったのは瀬戸内海沿岸の某地方都市で、釣りなどをしているとけっこうフグが釣れたりします。トラフグのような高級なものではなく、いわゆるショウサイフグですけど。で、子供心に不思議に思い続けていたことがあります。それは「何で河豚は毒を持っているのか? 身を守るための毒なら、食べられた後に相手がやられるだけで、河豚は助からない…」。誠に素朴ではありますが、大人になるまで私にとってはズーッと不思議な事の一つでした。

他のオニオコゼやミノカサゴ、オニカサゴ(ニセフサカサゴ)のように毒針として持っているならそれが武器になる訳ですが、フグの毒は喰ってみないと相手に対してダメージは与えられません。つまりその毒が効果を発揮するときにはすでに喰われている訳ですから、攻撃用でも防御用でもありません。人が死ぬくらいの猛毒(テトロドトキシン)を持っているのに、役に立たないという事です。まあ、人はその毒をちゃんと見極め、取り除いてから美味しくいただきますので、人間様に対しては全く効果が無い。フグには不憫な事ですけど…。ちなみに、「何故膨れるのか?」については、膨れる解剖学的なメカニズムはさておいて、「相手を威嚇する」「相手に飲み込まれないようにする」という事で一般的に理解されています。
   
ある説では、言ってみれば「フグの毒は、他のフグを助けるための英雄的人(フグ)柱」であるとまことしやかに言われていましたが、これでは説明のつかない所があります。ある場面では確かにそういう事もあり得るかもしれませんが、全ての捕食者がそれぞれ一度は仲間がフグを喰って死んでいる場面を見ていないと、その「人柱、殉死」説は成り立ちません。で、ますます分からなくなりましたが、何かの本で「遺伝記憶」なる言葉を知りました。もし、生物がそれを持ち得るとしたらフグを喰った仲間が死んだ事を記憶として共有できますので、フグの毒は自分の身を守るため、と明確に考えられます。しかしながら、この遺伝記憶なるものの存在は証明されていません。本能とは違います。本能は、例えば「苦み(=毒)に危険を覚える」程度で、「フグを喰ったら死ぬ」というような具体性までは持っていません。残念ながら「遺伝記憶」は魅力あるテーマなのですが、実体がありません。もしそんな具体性のある記憶が遺伝するなら、猛烈に勉強した人の子孫はズーッと頭がいいってことになりますね。

この辺で行き詰まりかと思うと、最近の研究でその「何故フグは毒を持っているのか」という事が解明されたそうです。フグはもともと体内で毒を作る(内因説)事は出来ず、フグが捕食する貝類などに含まれる毒を体内に蓄積して、肝臓などに濃縮している(外因説)ことが分かったそうです。ですから、養殖などで完全に無毒の状況で育てると、無毒のフグが出来上がるようです。で、肝心のフグの毒ですが、何と、敵に襲われると皮膚から毒(テトロドトキシン)を放出するそうです。敵はその毒で、フグが「ヤバい魚」である事を知り、退散する訳です。これは比較的最近に分かった事のようですけど、フグの仲間でハコフグのように、体内に毒はありませんが体の表面から毒を放出しているものは知られていましたが、他のフグも毒を放出するとは知りませんでした。
   
ですから、無毒の状況で養殖されたフグが猛烈なストレス状態になって生簀にぶつかったり、仲間同士で攻撃し合うのは、毒という「身を守る武器」を取り上げられるからでしょう。そりゃそうですよ。丸腰で敵の中に放り込まれるような環境ではストレスの塊になります。で、フグに毒を摂取できる餌を与えると、落ち着くそうです。武器を取り戻した訳ですから。ちなみにフグ自身が自分の毒では死にません。耐性を持っていると同時に、死なない適正量までしか蓄積しないようです。その適正量を超えた毒を人為的にフグに与えると「フグもフグに当たって死ぬ」らしいです。

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