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科学・テクノロジー その11「12秒 36m ライト兄弟から110年後」


本 2013年の12月17日は、ライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功してから110年。その飛行記録は、「12秒間、36m」であったとか。まさにフワリと(数m?)浮かび上がった機体を、昔の写真で見た事があります。その時には合計4回ほどテストで飛行が行われたようで、12秒36mというのは1回目の記録だそうです。4回目には59秒259mで、一気に5倍以上の進化を遂げた訳です。ちなみに、ライト兄弟がその後設立したライト社は売却され、今のロッキード・マーティン社につながっています。

当初は「機械が飛行する事は科学的に不可能」とか言われ、飛行実験成功も栄光の中ではなく、信用されないばかりか反発(嘘呼ばわり?)されたそうです。人類初の「飛行機」を見たのは数人だったとの事。飛行ではなく浮遊、つまり熱気球や飛行船は存在していたのでしょうし、滑空、つまりグライダーでの飛行も実現はしていたのでしょうが、「空気より重い機械」が空を飛ぶなど、飛行のための理論さえまだ確立していない時に、「飛行機」など、まさにUFO並みの扱いだったのでしょう。日本でも確か、江戸時代にグライダーでの滑空成功の記録があったように記憶していますが、栄光どころか、幕府から大目玉をくらったそうです。曰く、「将軍の頭の上を飛ぶのは許せぬ」とか…。まあ、この時代の日本は鎖国状態で、「発明」自体が禁止されていましたから。
    
その後、様々な試行錯誤と人間の思惑(名誉欲、事業欲…)の中でダッチロールしながら飛行機は急速に実用的な機械へと成り立って行きますが、やはりこういった「新発明」に真っ先に目を付けるのは「軍」のようで、それが飛行機完成の大きな原動力になったのは間違いないでしょう。1903年、ライト兄弟のライトフライヤー号がフワリと大気に浮かんで、その後わずか十数年後の1914年からの第一次大戦で、飛行機は「攻撃」が行える兵器にまでに進化しています。当時は今のような飛行機の形状ではなく「複葉機:主翼が2枚ある飛行機(※3枚ある飛行機は3葉機)」ですが、ついに飛行機は「戦闘機」と「爆撃機」となります。記録が見つからないので記憶に頼りますが、最初の空からの攻撃は「飛行機から煉瓦を落とす」ものだったそうです。それが「爆弾」に変わり、ドイツ軍がフランスとイギリスに爆弾を投げ落とし、無差別空爆が始まります。

ライト兄弟の一人、オーヴィルはそれに驚愕し「飛行機が戦争をここまで恐ろしいものにした。どの国も戦争を二度と起こそうとはしないだろう」と言ったようですが、そのような事はありませんでした。「原子爆弾の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーもそれと似たような考えを持っていたようです。「これほどに恐ろしい兵器ができればそれは使えない。戦争はもう起こらないだろう」。で、これもそうは行きませんでした。彼は広島・長崎に原爆が落とされた後、「我は死神なり、世界の破壊者なり」とインドの古典の言葉を引用して嘆いたと言います。
   
そして第二次大戦勃発。機械力はさらに進歩し、1939年、ライトフライヤー号からわずか40年足らずで、飛行機は「単葉の戦闘機」と「重爆撃機」へと進化します。毎度書きますが、人の歴史は「戦争の歴史」です。ナポレオン戦争で500万人近くの戦死者を出し、第一次大戦で桁違いの2,500万人以上の戦死者を出して、機械力による近代戦の恐ろしさに世界が疲弊し、震撼として、その傷跡も消えないうちに今度は第二次大戦で5,300万人以上の戦死者を出しています。飛行機は戦闘機、爆撃機として大空を駆け回り、高性能な殺人マシンへとなっていたのです。確かに名機と呼ばれる飛行機も多く生まれました。ゼロ戦、メッサーシュミット、フォッケウルフ、スピットファイアー、マスタング…。一式陸攻、B-17、B-29…。

そして、第二次大戦から5年経っただけで殺人マシンの主力はジェット機に移り、朝鮮戦争が始まります。(レシプロの戦闘機はこの戦争で、マスタングを最後に空から消えます)。「12秒、36m」から始まった飛行機の夢は「戦争の力」を借り、たった半世紀でやがてはジェット機へと進化し、音速の世界さえ超えて行きます。3回目の大戦はさすがに「核」が抑止力になっているのか、今の所、起こっていませんが、戦争の火は世界中で消える事がありません。朝鮮戦争以後の世界各地での戦死者はベトナム戦争からイラク戦争、その他を合わせると累計で1,000万人以上でしょう。非戦闘員の割合は正確には分かりませんが、ミサイルを加え、ジェット機からの攻撃が空から降り注ぐ光景は何度もTVで見せつけられています。
    
そして、ついには無人機が「悪夢」を運び始めます。航空史といった時、確かにジャンボジェットに象徴されるように、世界中の人や国を結びつける役割は果たした機体も登場しています。コメット、日本のYS-11、コンコルド、ボーイング787等々、航空機の本来的な「大空を飛んで人を運ぶ」旅客飛行機も数多くあります。しかし、機種からいえば軍事目的のものが圧倒的に多いでしょう。爆撃機どころではなく、無人機にはもう「殺す相手(人間)」の存在など見えません。不謹慎な言い方をすれば「テレビゲーム」感覚の戦闘が起こります。人は人格も何も無い、ただの「点」以下の存在となります。

ライト兄弟が大空に夢見たのは、そんな硝煙臭い光景だったのでしょうか。そんな筈はありません。ライトフライヤー号の「12秒、36m」からたったの110年で、飛行機は恐ろしいほどの進化を遂げました。「機械が空を飛ぶのは不可能」と言われていた時代から、たったの110年で…。よくある歴史の"If"ですが、ライト兄弟が今のジェット戦闘機、無人爆撃機を見たら何と思うのでしょうか。「素晴らしい航空技術の進歩?」、それとも「人間の恐ろしい好戦性の進歩?」。全てはライト兄弟の「12秒、36m」から始まった事です。

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