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科学・テクノロジー その6「レトルト食品のパイオニア 日本 何故?」


本 「レトルト(レトルトパウチ)」の技術を使って初めて一般向けの商品化をしたのは日本です。1968年(本格発売は翌1969年)に大塚食品(当時は大塚食品工業)が発売した、ご存知「ボンカレー」です。レトルトパウチはアメリカ陸軍で缶詰に変わる軍用携帯食品として開発されたものですが、その取って代わられる「缶詰」も、ナポレオンが軍隊の長期遠征に耐えられる食品保存技術を賞金を懸けて募集した事から生まれたものです。余談ですが、このサイトの各編に書いていますけど、人間の歴史で、人間の生活を豊かにしてくれる画期的な技術が生まれるというのは、何とも皮肉なことに「戦争のおかげ」なんですよね。そのたびに新しいテクノロジーがやる気満々で生まれてきます。ちなみに、この缶詰の「保存」技術の元となったのはパスツールの「腐敗は微生物のせい」ということが発見された後だと思い込んでいましたが、それよりも半世紀以上早い段階で缶詰は発明されていたのです(知らなかった…)。当時の脱気(空気を抜く事)の技術が、結果的には「滅菌、殺菌」となっていた訳です。
   
で、その「ボンカレー」ですが、我々の世代は懐かしく覚えていますがTVCMの「3分間、待つのだぞ」というコピーで、主に「保存食」というよりも、簡便な「いつでもすぐに食べられる」インスタント食品として売り出されていました。「社会・政治その4」に書きましたが、日本はカレー大国。子供の頃、手軽にお湯で温めるだけで大好きなカレーが食べられることは大変な驚きでした。日本の家庭では毎日買い物に行くので「保存」という感覚よりも、当時はインスタント食品として訴える方が市場に受け入れられやすったのでしょう。保存用の冷凍庫(一応冷蔵庫に冷凍室はありましたが、狭い)・冷凍食品という考えがまだ普及する前に、レトルト食品の方が先に市場を作り始めた訳です。
  
アメリカは逆です。自らの国(陸軍)が発明したものを商品化して市場を作る事が無かったのは、やはり家電先進国ですから、冷凍庫と冷凍食品が普及していたので、レトルト食品にはニーズが生まれなかったという事です。また、ヨーロッパは、日本のように「汁物」が多くなく、調理は「オーブン」、つまり焼くこと(Bake、Baked)が中心だったためレトルトで即食べるというインスタント的な食が受け入れられなかったのだと思います。最近でも、アメリカ人などには日本のレトルト食品が奇妙な食事・食品に思えるようです。もちろん、世界中にレトルト食品はありますが、恐らく(世界のレトルト食品に関するデータがありません)日本はレトルト食品の種類が世界でもトップクラスでしょう。市場規模はここ数年横ばいですが、四千億円以上はあるということです。

日本のレトルト食品No.1は「カレー」です。スーパーの売り場を見てください。一体、何種類あるのやら…。とにかくこの国はカレー好きで、レトルト商品の三分の一以上がカレーだそうです。これまた余談ですが、「ボンカレー」はレトルト市場のパイオニアですけど、その市場を確固たるものに作り上げていったのはハウス食品の「ククレカレー」だと思います。やはり私の世代には懐かしい「おせちもいいけど、カレーもね」といったTVCMのコピーが正月には流れまくっていました。ハウス食品の強さは昔、食品の商品開発企画に携わっていた時に思い知らされたことですが、どう頑張っても同品質のレトルト食品をハウスよりも「コストを抑えて」作る事ができませんでした。もちろん、市場を圧倒的に抑えていますから、そのスケールメリットで安く作れるのは当然なのですけど、そんなレベルではなく圧倒的に高品質なレトルト加工を低コストで実現していました。全く、歯が立つ相手ではなかった記憶があります。
  
では、日本のレトルト食品にはどんなものがあるのか? レトルトはその形態によって「平袋」「スタンディング」「成形容器」に分けられますが、平袋とスタンディング(底が広がった自立式)は同じようなラミネート(多層)構造の袋に入れられたものです。成形容器(お弁当箱のようなトレー)に入って上面にフィルムが貼られたもので、遮光性が無いものは「加圧加熱食品」となります。レトルトの表記にはこの遮光性が必要です。種類としてはまず当然ながら「カレー」が圧倒的です。すぐに食べられる(ご飯のいるものも含めて)ものとして「シチュー類」「ハヤシライス」「中華丼」「牛丼」「スープ類」「おかゆ」「雑炊」「クッパ」「ハンバーグ」「ミートボール」、「白米」「五目ご飯」「赤飯」、ソース系としては無数の「パスタソース」「中華調味料」「シチューなどの洋風調味料」「ハンバーグソース」、「ゼンザイ」に「ベビーフード」などなど…。キリがないのでこれくらいにしておきますが、まだまだあります。
 
ちなみに、私が仕事で部屋にカンヅメになった時、毎日の昼食は時間が惜しいのでレトルトで済ましていました(今でも)。ご飯は冷凍したものを解凍すれば炊く必要もありません。その時のメニューは「カレー」「ハンバーグ」「中華丼」「牛丼」「ビーフシチュー」「ホワイトシチュー」「スープ(&パン)」…。カレーやハンバーグなどは様々な種類がありますから、10日位はレトルトのみで楽勝に過ごすことができます。口の肥えている人は飽きるかもしれませんが、私は何でも食べる好い子なので、全く飽きなど来ませんでした。むしろ、外で変なものを食べるより「安くて美味しい」。

私が食品メーカーの仕事ばかりやっていた時に感じた事ですが、日本のメーカーというのは物凄く「真面目」です(今もそうだと思いますけど…)。品質や安全のこだわりなど「外国」の比ではありません(外国、ゴメン)。それは、一緒にやっているこっちが参るほどでした。やはり、レトルトという技術を使って、「より美味しいもの」を「より簡単に」という日本のメーカーがこれだけのレトルト市場を作ってきたのでしょう。ちなみに、こうした食品を加工食品と呼び、手間をかけずに誰でも簡単に調味できるという恩恵を消費者に提供しています。ですから、私たちの世代から下にとっての「おふくろの味」とは、そのほとんどが実は「メーカー研究員の味」なのです。

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