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社会・政治 その19「プロジェクト成功の要 有能な一人」


本 このテーマについて書くため、ある古本を探していたのですが、やはりもうありませんでした。どこかにはあるかもしれませんけど…。その本とは、タイトルはズバリ「商品開発」(分かりやすい)。昭和30年代に発行された本で、多分、部数もそれほど無かったでしょう。この本は大学を出て間もない頃、仕事の先輩が持っていたのを貸してもらって読んだ本ですが、ン十年前になりますけど、社会に出たばかりの小僧がいきなり「目から鱗」の思いを受けた本です。確か、某電機メーカーの「電気炊飯器」開発の物語で、あの「プロジェクトX」みたいな仕立ての話だったと思います。要は、当時の「商品開発苦労物語」を通じて、商品開発の在り方を書いてあった本ですが、まだマーケティングという技術が普及する前だったので、かなり技術よりの話だったように記憶しています。

その開発の対象である「電気炊飯器」は、初代の家電製品三種の神器といえば「白黒テレビ」「電気冷蔵庫」「電気洗濯機」ですが、テレビが庶民の手に届く前は、「電気掃除機」か、この「電気炊飯器」がその中に入っていたのです。で、その本の中に描いてあった事で未だにけっこうなインパクトを持って頭に残っているのが「有能な一人」という言葉です。なぜ、その言葉にインパクトを覚えたかといえば、それが、今に至るまで、やはり「プロジェクト成功の要」であると思うからです。本を読んだ当時はまだペーペーで、それほど仕事ができる訳ではありませんでしたが、極めて端的に仕事の在り方を示してくれた本でした。ある程度、仕事ができるようになると、その言葉が本当に「プロジェクトなるものの成否を左右」するという事を、身をもって経験しました。
    
まず、「プロジェクト」なるものの簡単な定義ですが、「ある目標を達成するために特別なチームを編成し、課せられたタスク(仕事)を解決する」という理解で別に間違いではありませんが、その在り方は大小様々にあり、大きなものでは、あの、原爆開発のための「マンハッタン計画(プロジェクト)」「アポロ計画(プロジェクト)」から、「町内商店街振興プロジェクト」のような小さなものまでがありますけど、その「在るべき姿」というものに大きな違いはありません。プロジェクトという名前のものはこれまでの仕事の中でいくつか経験しましたが、圧倒的に「上手く行かない」方が多い。何故か?。特に日本の会社の在り方を批判したい訳ではないのですが、プロジェクト立ち上げに必要な要件をクリアできないケースが多すぎるのです。その要件とは「会社での役職をプロジェクト内に持ち込まない」「必要なタスクに適切なスペシャリストを当てる」「プロジェクト内の議論の際、否定は禁物。代案で答える」「全体スケジュールを立て、段階ごとにデッドライン(達成の時期)を明確にする」「プロジェクト・リーダーを明確にする」「最終的な判断はプロジェクトリーダーに委ねる」。他にも色々あるでしょうが、コアになるのはこのような事です。

しかし、ご覧になって気付かれませんか? 云ってみれば、会社というものも一つの大きなプロジェクトなのですが、その中で前述の条件が揃う事は中々に難しいですよ。まず、一番目の「役職」ですが、なぜか肩書きだけでプロジェクト内でも「偉く」なってしまい、往々にしてネガティブ・チェックが得意となります。ですから、三番目のプロジェクト内での議論が成立しません。みな、上司の顔色を窺いますから。ここでプロジェクトなるものは殆ど頓挫してしまいます。まあ、スペシャリストを社外から呼んでも、どうしても組織外からの人間という事で、疎外されます。社内にあらゆるスペシャリストを抱えているという所は大企業といえども、まず無いでしょう。要件の「最終的な判断はプロジェクトリーダーに委ねる」なのですが、これが一番難しいのです。例えば、山の中で迷ってしまえば、右に行くか左に行くかで時には命運の分かれる事もあります。決断には「状況判断」だけではなく、「責任」と「度胸」が最終的には必要になります。つまり、会社の中でプロジェクトを作るというのは「会社の中にその雛形を作る」という事になり、上手く行かない場合が多い。
     
で、「有能な一人」です。「電気炊飯器」といってもお釜に電熱線巻くだけではできません。「お米を美味しく炊く」という事から調べて行かなければなりません。当然、社内に「電気炊飯器商品開発プロジェクト」が立ち上げられます。しかし、上手く行きません。その理由は前述したような事にあります。余談ですが、日本人は「日本型の会社=村的共同体」を基本的な構造として働いていますので、このプロジェクトというスタイルがなかなか上手く使えません(今でもそうでしょう…)。「電気炊飯器プロジェクト」も最初はどうにも上手く進まなかったようです。で、ある技術者が問題意識の塊となり「米の美味さとは」「美味い米の炊き方」「電気での温度のコントロール」「使いやすい形状」等、かなり技術寄りの課題が多いのですが、必要な事を「一人」でまとめ始めます。すると、それまで、バラバラに動いていた社内のプロジェクトメンバーが一つになり始め、その技術者をプロジェクト・リーダーとして整然と動き出し、ついに「電気炊飯器」が完成したという話です。

ちなみに、その「電気炊飯器」は大ヒットしました。私の世代が最初に見た「電気炊飯器」の形は、おそらく殆どがこの商品です。要するに、プロジェクトなどというスタイル・手法がまだない頃に、そのプロジェクトを見事に進め、目標を達成したのが「有能な一人」、ある技術者であったという事です。つまりは「リーダー」の存在がプロジェクトの成否を決めるという事です。個人的な経験ですが、日本の場合は「リーダー」なる者が、会社にしても政治にしても、往々にして「親分」になってしまい、ただの「権力」でしかなく、「全体を有機的に組み立て」「求心力を持ち」「責任を持って果断をくだす」という存在になり得ません。稀に、そうでない場合もあるようですけど。事を成すには「有能な一人」が必要ですし、プロジェクトはその「有能な一人」に成否を賭けて動くものです。しかし、まあ、その「有能な一人」を見抜くのは難しい事ですし、「自分が…!」と手を上げるのも易しい事ではないでしょうね。「プロジェクトX」はTV番組で演出はあるでしょうが、そこには必ずリーダーとなる「有能な一人」がいました。

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