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社会・政治 その31「能力の低い人ほど自分を過大評価する ダニング=クルーガー効果」


本 本サイトは「本屋さん」を名乗っておりますが、小生意気な書評などはせず、要は雑学を楽しみながら、それに関連した情報を持っている本をご紹介するといった「大きなお世話」サイトです。ですから、まあ、書評はしなくとも、その本に関しての個人的な感想や、考えに対する意見などを身の程知らずに行うことはあります。で、本をネタにコンテンツを作っている者が、新聞での「書評」を見て、それをネタにコンテンツを書くという「倒錯的」なことをやろうとしています。何故か? その書評の書き出しを読んだとたんに「大笑い」してしまったからです。これほどにストレートな球をド真ん中に投げ込まれると、爽快感さえ覚えます。これは書かねば。では、その「大笑い」してしまった書評の出だしとは…。

「アメリカ人、特にミレニアル世代がどんどんバカになっている」。ミレニアル世代とは、2000年以降に成人、あるいは社会人になった世代を指す言葉のようです。 「ミレニアル(Millennial)」は「千年紀の」という意味で、同じような「区切り」を表す言葉に「センティニアル(Centennial):百年ごとの)」、「ディケイド(Decade):十年紀の」があります。それは置いといて、出だしだけで吹き出しかけたのですが、その次に続く言葉でもう大笑いです。「いや、ぼくが言っているのではない、この本にそう書いてあるのだ」。いや、数分は笑いましたね。その本というのは「クラウド時代の思考術:ウィリアム・パウンドストーン著」、副題は「Googleが教えてくれない一つのこと」ですが、これは、広告コピー的な匂いのする、取って付けたような言葉です。で、アメリカのミレニアル世代がバカになっているという根拠は、どうもその本に書かれている「ダニング=クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)」とやらにあるらしい。お恥ずかしい話、雑学好きを自認する私、この言葉を知りませんでした。と、調べてみたら、アメリカの心理学者である、コーネル大学のデビッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが1999年に発見した効果だそうで、「能力の低い人ほど自分を過大評価する」だとか。オヤジにとっては比較的新しい時期の言葉で、「イグノーベル賞(ノーベル賞のパロディーですが、中身は濃い)」に輝いたという格調高い研究です。イグノーベル賞については本サイトの「科学・テクノロジーそのその28」をご参照ください。

研究の手法を大雑把に言えば、あるテストを行って採点をし、その点数についての自分に対する評価を聞くと、点数の低い人ほど「自分はまあまあである」「自分はできる」と過大に評価する傾向にあり、点数の高い人は「自分はまだまだである」「自分はまだ力が足らない」と謙虚な評価をする傾向にあったそうです。それだけではなく、様々なテストを行ったのでしょうが、社会学ということになるとアメリカは超先進国で、日本はその足もとにも及ばないと思います。まあ、社会構造が違うからでしょうけど。で、その社会学なるものから導かれたものとして「優越感の錯覚(これは日本の研究成果のようです)」、「社会的に地位の高いものほど社会性が低い」、「傲慢症候群」なんて言葉を思い出しました。兄弟サイトの中にちょっとばかし書いてありますので興味のある方はどうぞ。「優越感て、何が根拠で持てるのか」、「続・優越の錯覚 その裏にあるものを考える」、「傲慢症侯群 傲慢は人格障害の一種 何を今更」。「社会的に地位の高いものほど社会性が低い」とは、アメリカの某研究チームのレポートにあったもので、出典の詳細が不明なのですが、まあ、経験的には頷けることです。

では、なぜ「アメリカ人、特にミレニアル世代がどんどんバカになっている」のか? その原因はインターネットだそうです。ネットで検索すれば誰でも簡単に「情報・知識」を手に入れることができ、あたかも自分は勉強をしたような気になる。で、自分は物知りだという自己認識が、ますます肥大する、とか。しかし、それは錯覚であって、もともとが大脳をあまり使っていない。そもそも、検索という作業にも「相応の知識とリテラシー」が必要になるわけで、それがないのに検索を行っていれば、インターネット上の膨大な「誤った情報や嘘(これに異存のある方はいないでしょう)」の中を漂い、自分に都合の良い情報だけを取り込んで「偏向」の世界に足を踏み入れてしまいます。それなりに勉強を積み重ね、判断力を養っている人(=賢い人)はそうなりません。「疑う」ことを知っているし、「丸飲み」はしませんから。そもそもが「賢い」ということはその精神に「謙虚」さがあるからこそ、自らの教養をまさに地道に「養う」わけで、「バカ」は手っ取り早く「それっぽい知識」を得ようとします。そのためにインターネットという、化け物のようなシステムは何とも便利な道具です。が、化け物なのですよ…。

ここで少々古いのですが、マクルーハンの「拡張」の概念が思い浮かびます。これも兄弟サイトの中に「補足説明※21」で簡単にまとめました。要は、TVなどの出現によって、人はそれまでになかった力を得、その力に取り込まれるといった「魔物物語」めいた概念ですけど、確かにメディアも、自動車も生活を快適にする空調など、数限りない機能を得て、「拡張」しているのが現代人です。その傾向はまだまだ続くでしょう。しかしながら、それらは「当たり前のこと」として取り込まれるのです。しかも、問題は、そこに「経済的な格差」が生まれて、「得られるものと得られないもの」との差が激しくなり、もうすでに「ITディバイス」などと呼ばれて長い時間が経っていますが、「情報」の偏りが人間を「勘違い」に引き込むのは容易に想像し得ることです。マクルーハンの言う「拡張」の概念は、社会を便利にし、人間を豊かにしてはいますが、その代償として人が「自ら考える」という自立した精神を衰弱させているのかもしれません。

ルソーだったか、パスカルのパンセの中の一節だったか記憶が曖昧なのですが、時代を啓蒙しようとする精神の持ち主が発した「子供にとっての最大の不幸は、何不自由なく、ものを与えられることである」という言葉には、この「ダニング=クルーガー効果」の示す景色の遠因が集約されているように思えるのです。インターネットに加えてグローバリズムとやらいう構造が向かっているのは、「知と情報」の混乱のように見えますが、それゆえ、複雑な混乱を取りまとめるために「イデオロギー」なるものが、個人が望まぬ「社会」をいつの間にか偏らせていることがあるとしたら、これこそが「ダニング=クルーガー効果」のもたらす禍々しさであり、果ては「AI(Artificial Intelligence):人工知能」とやらで人間の主体性は根本的に消滅するのでしょうか。まあ、それは極論として、1999年に発見された「アメリカのバカ」が、2017年に花開いたなんて悪夢は見たくもない、です。

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