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その他 その1「文芸と互角に渡り合えるマンガ 元祖マルチメディア」


本 2007年(平成19年)に、文化庁メディア芸術祭10周年企画展『日本の表現力』が開催されました。この企画展では、デジタルアートからゲーム、ロボット、アニメ、マンガにまで広がる「日本のメディア芸術」が紹介され、その際メモリアルブックとして『日本の表現力』という本が刊行されました。これがなかなか面白くてよくできた冊子なのですが、残念ながら殆ど一般には出回っていないと思います。その中で年代別にその主要作品を紹介しているのですが、特にマンガが私の世代(オッサン)にとっては涙ものです。役人もたまには粋な事をやるものです。
    
初期の頃の作品、1945年(昭和20年)から1970年(昭和45年)辺りまでのものは、今やマニアック・アイテムとしてしか存在しないでしょう。例として挙げるなら「サザエさん」「あんみつ姫」、おもしろブックの「火星王国」、手塚治虫初期の作品「来るべき世界」「アトム大使」。アトムは最初、このようなタイトルでしたが、昭和27年に「鉄腕アトム」となりました。手塚治虫は子供にとって神様のような存在でした。昭和28年「リボンの騎士」、昭和29年「火の鳥」。ちなみにこの年に映画「ゴジラ」が登場しています。昭和30年代、マンガは貸本や月刊誌に掲載され、その月刊誌の主要なものとしては「なかよし」「りぼん」「ぼくら」あとは「少年画法」や「少年」など。雑誌の付録に釣られて、親に買ってもらいました。昭和31年には横山光輝の「鉄人28号」が登場しています。鉄人28号は旧帝国陸軍の秘密兵器だったのです(ご存知の方はオッサンですね。失礼)。
   
日本が戦後、本格的に復興し始める昭和30年代には「まぼろし探偵」「月光仮面」、その半ばには少年サンデーや少年マガジンなどのマンガ週刊誌が相次いで発刊され、マンガは社会に強く根付き始めます。水木しげる、ちばてつや、赤塚不二夫、藤子不二雄、石森章太郎などの大御所が登場してきます。個人的には天才マンガ家桑田次郎の「8マン」(原作はSF作家の平井和正)にシビれました。昭和40年代にはTVに「ウルトラマン」が登場し、「巨人の星」や「あしたのジョー」などの名作が登場します。いわゆるスポ根ブームの到来です。文芸の向こうを張るつげ義春の「ねじ式」も登場しました。もうマンガの大カンブリア紀です。

昭和50年代には本格的にアニメの時代を迎え、昭和40年代最後の年に、名作「宇宙戦艦ヤマト」がTVに登場します。そして「機動戦士ガンダム」「銀河鉄道999」…。もうキリが無いのでこの辺にしますが、ここまで見てきただけでも、如何に日本が「マンガ大国」であり、世界に冠たる「マンガ文化」を営々と築いてきたかがお分かりになると思います。なぜ日本にそのような文化が生まれたのか? 我が国最古のマンガは国宝「鳥獣人物戯画(鳥獣戯画)」ということになっていますが、確かに今のマンガに通じるような動きのある描き方等、それまでの平面的な絵巻物とはかなり表現手法が違っています。しかし、それ以後はどうでしょう。鳥獣戯画が描かれたとされる平安末期から鎌倉時代以後、これがマンガとして発展することは無かったと考えます。マンガの黎明期は戦後(昭和20年以降)であると思います。ではそこでなぜ、多くの才能がマンガ界に集まったのでしょうか?
    
神様手塚治虫の存在は非常に重要だと思いますが、日本固有の「文化」のレベルにまでマンガを引き上げたのは何だったのでしょうか? 結論から言えば「よく分からない」となるのですが、あくまでも仮説として、もともと日本人は「箱庭」「庭園」「盆栽」「根付」など、コンパクトな中に一つの世界を緻密に作り上げる文化を持っており、それが戦後のあらゆる権威、タブーからの解放(レジームチェンジ)の中で、「物が無い中でも紙とペンがあれば自由に創作できる」マンガという表現に才能が集まり、生物のカンブリア紀の如く、様々な試行錯誤、創作実験、創造実験が爆発的に生まれてきたのではないかと考えます。現在の萌えキャラクターやフィギアをみても、やはりこの国にはそうした創作(創造)手法が根付いていたのではないかと思います。
     
マンガは生まれた当時からすでに「マルチメディア」です。台詞と絵、そして空間を作るためのオノマトペ(シーンとかガガッとかガーンなどの擬態語・擬声語)などの複数の手法を駆使して作品を伝える。まさにマンガは日本独特のマルチメディアのコアであると考えます。文芸とは違った進化を果たしたマルチメディアの文化。まあ、お堅い文化論として語るよりも、とにかくマンガなるものに一切触れた事がない日本人は殆どいなくなっているでしょうから、アナログからデジタルに移行しようとも、思い切り楽しませていただきましょう。「日本のマンガ」に。

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