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その他 その14「和食 無形文化遺産 だしの文化」


本 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関:国連の専門機関のひとつ)の無形文化遺産に日本の和食が登録されましたが、そもそも「無形文化遺産」とは何でしょうか? ユネスコの事業のひとつであり、「無形文化遺産の保護に関する条約」の第2条では、「無形文化遺産とは、慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう」と定義されています。ちなみに、もう一つの事業に「世界文化遺産」というものがありますが、こちらは「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく国際条約によって登録され、遺跡、建造物、景観、自然などの「有形不動産」が対象です。もうひとつ、「世界記憶遺産」というものがありますが、こちらは文書や絵画を対象としたもの。

この3つがユネスコの「三大遺産事業」と呼ばれています。で、日本の和食は「食」の部門で世界で5番目に「無形文化財」として登録されました。他の4つは、「フランスの美食術」「地中海料理(スペイン・イタリア・ギリシア・モロッコ)」「メキシコの伝統料理」「トルコのケシケキ」。メキシコの伝統料理は、トウモロコシ・豆・唐辛子を基本とした料理で、トルコのケシケキは、麦のお粥のような食べ物。ユネスコの遺産事業はそれら有形・無形の文化を破壊から守ろうとする事業です。ここで素朴な疑問です。では、何故「和食」が無形文化遺産に選ばれたのでしょうか? 理由は「社会的」「文化的」「教育的」な観点から登録が決まったようです。社会的と文化的はほぼニアリー・イコールでしょうが、教育的という観点が興味深いですね。簡単に言えば、それが大人から子供に伝えられて行く、ということでしょう。
    
登録の理由をさらに細かく見てみると「自然の尊重」「多様で新鮮な食材」「食材の持ち味の尊重」「栄養バランス=健康な食生活」「自然や季節との関わり」「年中行事との関わり」という事です。これらを一言でいえば、まさにそれが「文化」という事です。愛用の新解さんを引くと、さすが「文化」の項目にはズラリと記述が並んでいます。そのひとつの言葉を借りるなら「人間の精神的活動(によって作り出されたもの)」というのが、一番妥当な表現でしょうか。付け加えるなら、「その結果として根付いた様式・価値観」でしょう。日本で生まれ、日本に暮らすものとしては、その「和食」はあまりにも身近で、それを「無形文化遺産」といわれるのは、正直、ピンとこないのですけど、つまりは「破壊からの保護」をユネスコの遺産事業は目的としている訳ですから、「和食」も破壊されつつあるのでしょうか?

という、深読みは置いといて、確かに、数少ない海外経験から行っても、「和食」の味と「海外」での味とはまるっきり違うと感じます。私、海外旅行(出張)が嫌いなのですが、その理由は「食べ物が合わない事」です。これは体に染み込んだものですから仕方ないのですけど、全くといっていいほど合わないのです。もともと「人の口」というのは相当に保守的なものであるという事は、食品関係の仕事で調査などをやっているとイヤというほど知らされます。まあ、私が極端な例(日常での食事には好き嫌いはありません。何でも食べる好い子です。)だとしても、では、和食の味と海外での味との決定的な違いは何なんでしょうか?
     
それは、予定調和的といわれようとも、「旨味(うまみ)」の差であると思います。旨味は日本料理が発見したもののように言われますが、旨味のもとである「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」は自然の食材の中に含まれていますから、世界中の人が口にしている筈です。それなのに、どうして日本人だけが、甘味・塩味・酸味・苦みに続く味として今や "UMAMI" と辞書にも載る、世界に通じる「旨味」を知っていたのでしょうか。グルタミン酸は野菜や海藻に多く含まれ、イノシン酸は肉や魚、グアニル酸も野菜や海藻に多く含まれています。日本だけで採れるものではありません。考えてみれば不思議です。その「答え」となるのは…。「だし」です。

海外の料理にもスープはありますが、日本の「だし」はそれ単体が料理という事は無く、全ての和食のベースとなるものです。海外の料理は「焼く」「煮る」が多く、日本のように、例えば「味噌汁」のような存在はないと思います。この「味噌汁」を傍らにして、和食の基本は「一汁一菜」に「ご飯」でしょう。「一菜」の品種が増えて、豪華になる場合はもちろんありますけど、日常的に日本人の食事は「一汁一菜&ご飯」が基本(原型)であると考えます。実際、自分の食生活を考えてみてもそうですから。この汁物が「和食」の旨みを顕著にしているのだと思います。ソースはメインの味付けに使われるものですが、「だし」は食材の味を引き出すためのものです。
    
「旨味」はグルタミン酸・イノシン酸・グアミル酸の相乗効果で生まれるようです。例えば、煮干しのだしを使った味噌汁ですけど、これは「味噌のグルタミン酸」と「煮干しのイノシン酸」との相乗効果だそうです。海外の料理でこのような出会いを見た事はありません(まあ、味噌がないか…)。そこに「きのこ」でも入れれば「グルタミン酸+グアニル酸」の相乗効果で旨味が増します。我々日本人はほぼ毎日、この汁物をすすって、「旨味」を日常的に味わっているのです。まさに「だし文化」です。日本の恵まれた自然環境から得られる食材、多種多様な野菜、魚介類がだしの中で出会って、まさに文化と呼べる食生活をわれわれは営んできた訳です。もうひとつ、日本人は「旨味を味わえる」独特の文化を持っていると考えます。それは「すする」という食べ方です。海外では食べる時に音をたてるのはタブーとされる事が多いのでしょうが、日本人は熱々の汁物や蕎麦など、むしろそれが食べ方の艶であるかのように、音をたてて「すすり」ます。
  
戦国時代に伊達正宗の主命でヨーロッパに渡った支倉常長のエピソードに、「日本人は熱湯を平気で飲む!」と当時のヨーロッパ人が驚いたというものがあります。この「熱湯を飲む」というのは日本人なら誰でもできます(猫舌もいますけど…)。要は、熱いお茶や湯を「すすって」飲むから、できるのです。「すする」というのは、熱いものを「冷ます」と同時に「味を拡散」して飲む、日本人の器用な「唇」のなせる業でしょう。海外の人にはできないそうです。これが、汁物を熱々でいただき、旨味をより一層引き立たせる食べ方です。和食の基本には「だし」があり、それを「旨味」として最も効率よく引き出し、さらに「すする」事によりそれを堪能できる「食べ方」があります。

和食は「だし文化」であり「汁物文化」であると考えます。確かに、これは世界に類のない「食文化」です。洋食もいいですけど、「一汁一菜&ご飯」の生活を楽しんではいかが?

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